Category - シリア情勢をわかりやすく説明

戦いの跡地

シリアがかつて豊かな国だったと知らない人も多いはずです。独裁政権ではあったものの、シリアはかつて非常に豊かな国で、国民の支持が得られていたからこそアサド政権も安定して運営されていたのです。

ところが、異常気象が原因となり、深刻な食料難がシリアを襲ったのです。十分な富を蓄えたシリアは対処さえ間違えなければ難局を乗り越えられたはずですが、政策が迷走したために被害は甚大となり、とくに貧しい農村部を中心に政府に対する不満が高まっていくことになります。

そんな中、「アラブの春」をきっかけに反政府運動が激化していくことになります。アサド政権はこの反政府運動に強硬な態度を見せ、アサド政権VS反体制側の対立は激化していくことになります。

この政治的な対立に宗教問題も加わり内戦状態へと突入していくのです。反政府側にはイラク戦争で敗れたイスラム過激派組織の残党なども加わっており、より過激な戦略がとられていったことも影響しています。

反政府側と言っても一枚岩ではなく、様々な勢力が結びついて複雑に絡み合っていることが欧米側の対処を難しくしている一つの要因となっています。反政府側を支援するはずが、その武器の一部がイスラム過激派に流量されたことも現地の混乱に拍車をかける事になります。

化学兵器も飛び出す悲惨な戦争は何度も停戦交渉が行われ、その度に破られると言った泥沼状態に突入しており、今後の動きがどうなるかも常に注目を浴びています。独裁者であるアサド大統領が攻撃の手をやめたとしても、それに乗じてイスラム過激派が攻め入ってくるかもしれないのです。

ISILの台頭に象徴されるように宗教と政治の問題を完全に切り離すのが難しいのが中東と言う地域です。宗教と政治の分離に成功しているように見える民主国家でも、特定の宗教の支持者層の厚さが国の運営方針を変える事もあります。例え民主主義への移行が進んでも根本的な解決は難しいと言う見方もあります。

しかし、何十万人もの死者を出し、多くの難民を生み出し続けている内線は可能な限り早く集結させ、経済や人権問題を解決すべきだと言う方向に、ようやくシリア政府自体も動き出しています。

今後はアサド大統領が大統領をやめるかどうかに注目が集まりますが、現状では辞任を否定してる事から、まだまだ一波乱があると予測する人も多いのが現状です。しかし、多くの難民を受け入れ、様々な問題に直面している欧米諸国も、何らかの妥協が必要になる可能性も高いのです。

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シリアの歴史

シリアのあるアラビア半島は世界の4大文明の一つが生まれ、約3000年前にはマケドニアのアレクサンダー大王がペルシア帝国を滅ぼし、その後ローマ帝国が進出し、そこまででもこの地は混沌としておりました。文化や民族が行き交いシリアはヨーロッパとアジアの分岐点として育まれてゆきました。
ローマ帝国の崩壊によってヨーロッパを中心に民族が大移動をはじめ、また地中海沿岸からヨーロッパ大陸にかけてキリスト教が広がり、その地に定住をした民族が都市を作り発展してゆきました。
シリアは、ローマ帝国崩壊の後、政治権力は王を率いて割拠してゆく時代に入り、更に7世紀に生まれたイスラム教がアラビア半島からエジプト、トルコ、北アフリカ諸国やがて一時はイベリア半島まで信仰の広がりを見せていました。
中世からトルコを中心に進撃を行っていたオスマン朝のイスラム教徒は20世紀にトルコに新たな政教分離の国を建国し、以降は世界に分布する宗教を公認し、シリアは周辺のアラビア諸国とともにイスラムを信仰する国家となりました。
20世紀の大国による勢力争いは大きな大戦を巻き起こし世界に暗い影を落とす中、アラビア半島は肥沃な土地でありながら油田の開発で発展をしてゆきますが、ここにも後に大国の思惑が暗い影を落とすようになります。
終戦後は、イスラム諸国で宗派内の争いが激化し20世紀後半にはシーア派のイラクとスンニ派のイランの間で戦争が起こり宗派間の対立が一層顕著化してゆきました。
21世紀に入りアラブ諸国がようやく民主化へと舵を切るアラブの春がチュニジアから各国に飛び火し、独裁政権が次々と崩壊し、脆弱な民主国家を誕生させる道半ばで頓挫し宗教を旗手に宗派間での内戦に発展したまま各国は政情不安定な状態から抜け出せないでいます。
この流れがシリア情勢として4年以上にわたる内戦状態が続いており、同じように独裁政権を確立しているアサド大統領を支持する政権支持派と反対派による戦闘が泥沼化しています。
ここにも大国の思惑がひしめき戦況を混乱させており、政権側を支持するロシアと反政府勢力の支持に回っているのがアメリカを中心としてヨーロッパの西側諸国が加わり反政府勢力の支持に回っています。
泥沼化したシリアにはかつてアフガニスタンでのソ連の侵攻食い止めようと土着の民族に武器の供与をしたきっかけで武装した集団がやがて反米を掲げてテロを企てていったアルカイダや近年イスラム国がアラブ諸国を拠点に世界進出を企てようと息を荒げており、シリアに侵攻したことで一層情勢を複雑にしており、平和に暮らしていたシリア人たちが居場所を失い難民となって社会問題となっています。
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